AIを効率的かつ安全に使うためのGit入門|非エンジニア向け
AIの進歩は目覚ましく、AIに任せられる作業は日に日に増えています。
ですが、AIの作業範囲が広がるほど「大事なファイルが消えてしまったら」「知らないうちに内容が壊れていたら」という不安も出てくるのではないでしょうか。
こうした不安は履歴管理ツールの導入で解消できます。
履歴管理ツールで「何を・いつ・どう変えたか」は全て保存されます。特定の変更を取り消したり、過去の履歴に戻したりするのも簡単。
WordやExcelには過去の変更履歴を確認し、復元する機能がありますが、あれも履歴管理の一種です。
この記事では代表的な履歴管理ツールを2つ紹介します。
- パソコン内の履歴管理をするGit
- 履歴をインターネット上で安全に保管するGitHub
あわせて、AI・Git・GitHubを組み合わせた業務効率の上げ方、非エンジニア向けの導入手順も解説します。
Gitは「フォルダ内の変更履歴を残す」仕組み
Gitは無料で使える履歴管理ツールです。「コミット」という保存操作をするたびに「何を・いつ・どう変えたか」という履歴を保存します。
履歴確認はVisual Studio Codeがおすすめ
Gitの履歴確認には、マイクロソフトの無料ファイル編集ソフト「Visual Studio Code」が便利です。コミット履歴が時系列に並び、クリックすれば変更したファイル名が表示されます。

ファイル名をクリックすると、変更前と変更後が左右に並びます。削除した行は赤、追加した行は緑という色分けです。

Visual Studio Codeはファイルの手直しもでき、AIの作業結果チェックに便利です。
リポジトリとはGitで履歴管理するフォルダのこと
Gitはフォルダ単位で履歴を管理し、そのフォルダを「リポジトリ」と呼びます。
どのフォルダをリポジトリにするかは「見せる相手」の単位で決める

たとえば以下のような構成で、どのフォルダをリポジトリにするかを考えてみましょう。
会社情報├── 自社サイト├── 顧客情報└── 社員情報この場合、
- 会社情報をリポジトリにする
- 自社サイト、顧客情報、社員情報をそれぞれリポジトリにする
という2つの選択肢があります。
リポジトリを分ける基準は、見せる相手が同じかどうか。閲覧の許可はリポジトリ単位で決めるためです。
たとえば、自社サイトを外部発注するなら2が適しています。なぜなら発注先には自社サイトのフォルダだけを見せたいからです。
一方で、自社サイトをAIで自社開発するなら1を選ぶべきです。AIは基本的にリポジトリ内の情報を見るので、顧客情報や社員情報も参照できた方がスムーズに開発ができます。
はたらクラフトでも全情報を1リポジトリで管理しています。
GitHubでGitの履歴をインターネット保管できる

GitHubは、Gitで保存した履歴をインターネット上で保管できるクラウドサービスです。
コミットで保存したGit履歴を「プッシュ」でGitHubへ送っておけば、パソコンが壊れたり紛失したりしても、GitHubに履歴ごと残ります。
Visual Studio Codeと同じように、GitHubの画面でも履歴確認ができます。

GitHubで、リポジトリは2種類の公開範囲を選べます。
- 誰でも見られる「パブリックリポジトリ」
- 自分および承認された人だけが見られる「プライベートリポジトリ」
ネットに公開したい情報以外は基本的にプライベートリポジトリを使います。
GitHubは無料プランでもプライベートリポジトリを無制限に作成できます。
Git・GitHubは業務効率化にも役立つ
GitとGitHubは履歴管理だけでなく、業務効率化にも役立ちます。代表的な使い方が、
- 同じリポジトリで複数作業の同時実施
- 定期タスク自動化
の2つです。
git worktreeで同じリポジトリの複数作業をAIが同時実施

git worktreeはGitの機能で、1つのリポジトリから作業用のフォルダを複数作れます。
作業フォルダを分けておけば、AIに複数の作業を同時に頼んでも、互いの変更が影響し合いません。
たとえば自社サイトの料金ページについて、以下2つの作業を別々にAIに頼んだとします。
- 新プランの追加
- 説明文を読みやすく手直し
同じフォルダのまま同時に頼むと、1のAIがプラン追加中に急に文章が変わる、2のAIが手直し中になぜかプランが増えている、といったことが起こります。これではAIがミスをしても文句を言えません。
git worktreeなら作業ごとにフォルダを分けられるので、各AIは安心して作業を進められます。
各作業フォルダの内容の統合は「AフォルダとBフォルダのworktreeを統合して」のようにAIに任せればOKです。
GitHub Actionsで定期タスクを自動実行

GitHubには、曜日や時刻を決めてタスクを自動実行するGitHub Actionsという仕組みがあります。
たとえば、はたらクラフトのGitHub Actionsでは次の定期タスクを動かしています。
- データベースを毎週月曜の朝にバックアップ
- Webサイトのリンク切れを毎週月曜の朝にチェックし、リンク切れがあれば通知
- 利用ツールのバージョンアップをチェックし、バージョンアップがあればテスト環境で実行・テスト・通知
料金は、パブリックリポジトリなら無料、プライベートリポジトリでも毎月2,000分(約33時間)までは無料です。はたらクラフトも無料枠で運用しています。
Git・GitHubの操作がわからなくてもAIに頼めばいい

ここまで読んで「Git・GitHubが便利なのは分かったけど、使い方を覚えるのが大変そう」と感じたかもしれません。Gitは本来、エンジニアがよく使うターミナルという黒い画面からコマンドで操作します。

でもCodexやClaude Codeを使っているなら、コマンドを覚える必要はありません。
「今の状態を保存して」
「GitHubにも反映して」
「さっきの変更を元に戻して」
と日本語でAIに頼めば、必要な操作を代わりにやってくれます。
GitHub画面での確認や作業も、AIにブラウザ操作で任せられます。
Git・GitHubの導入も簡単。Gitで管理したいフォルダを1つ用意し、CodexやClaude Codeに次の依頼をしてください。
◯◯のフォルダをGitHubのプライベートリポジトリとして管理したいこれでGit・GitHubの初期設定からリポジトリ登録までAIがやってくれます。アカウント登録などの人がやるべき作業はAIが依頼してくるので、AIの言う手順通りに進めればOKです。
Git・GitHubを導入してAIの作業を安全かつ効率的に進めよう
この記事の要点は次のとおりです。
- AIに作業を任せるなら、Gitで履歴管理しておくと安心
- 履歴や差分確認にはVisual Studio Codeが便利
- リポジトリは「見せる相手」の単位で作り、見せる相手が同じ情報は1リポジトリにまとめるとAIでの開発がスムーズになる
- GitHubは履歴をインターネット上で保管し、無料プランでもプライベートリポジトリを無制限に作れる
git worktreeの複数同時作業とGitHub Actionsの定期タスク自動化で業務効率が上がる- Git・GitHubの導入も操作もコマンド不要で、CodexやClaude Codeに日本語で頼めばOK
まずは手元のフォルダを1つ選び、CodexやClaude Codeにプライベートリポジトリを作ってもらいましょう。


