エージェントスキルはプロンプト1つで育てる|実行時間3分の2・トークン半分
「スキルを作ったのに、成果物の質がいまいち安定しない」。エージェントスキルを使いはじめると、次はこの壁に当たります。
原因は、スキルの適切な直し方を知らないからかもしれません。スキルは作って終わりではなく、テストして育てるものです。
この記事ではスキルを育てる具体的な方法と、実行時間が3分の2・トークン消費が半分になった自社の実例を紹介します。
動画で見たい方はこちら。
スキルは書いた時点では仮説。使うほど改善の種がたまる

スキルの手順書は、書いた時点では「こう書けばうまくいくはず」という仮説の束にすぎません。
どこで手間取り、どこで無駄なトークンを使うかは、実際に動かすまで分からないからです。
逆にいえば、スキルを使うたびに、実行ログと成果物には改善の種がたまっていきます。
Anthropic公式のスキル作成のベストプラクティスにも、「仮定ではなく実際のエージェントの動作に基づいてスキルを改善」する、と明記されています。
1ヶ月で1,000件以上の機能改善をこなすエンジニアは、スキルもテストする

ぼくがスキルの改善方法を見直したきっかけは、CursorのエンジニアLauren Tanさんが出演したポッドキャストです。
彼女は入社5ヶ月で3,000件以上のPR(プルリクエスト)を出し、直近1ヶ月だけでも1,000件以上をマージしています。
PRとは、アプリの機能追加や修正の単位のこと。1つのPRで1つの修正をするイメージです。
つまり彼女は、1ヶ月で1,000件以上のアプリの機能改善や修正をしているのです。
そんな彼女がポッドキャストで話していた仕組みの1つが、スキル自体のテストでした。
Lauren Tanさんはスキルごとに、成果物の品質を評価する客観的な指標を用意しています。その指標でテストを行い、点数が良くなるようにスキルをどんどん改善していくそうです。
ぼくの改善方法はプロンプト1つ。5回以上使ったらAIがテスト
一方、ぼくの改善方法はもっとシンプルです。スキルを5回以上使ったら、次のプロンプトを送るだけ。
〇〇のスキルを成果物の品質、トークン効率、実行時間の観点で改善点を優先度の高い順にドキュメントにまとめて。ドキュメントにはAIエージェントが対応しやすい粒度のPR分割計画も含めてAIが過去のスキル実行時のログや成果物の改善過程を調べ、改善点を優先度の高い順にまとめたドキュメントを作ってくれます。
ドキュメントには、改善を1件ずつ直せる粒度に分けたPR分割計画も含まれます。あとは次のように1つずつ進めてもらうだけです。
ドキュメントのPR1番を対応して自社スキル2つの改善事例
弊社のスキル2つの改善事例を紹介します。
動画生成スキル:実行時間は3分の2、トークン消費は半分

1つ目は、ポッドキャスト音源からYouTube用の図解動画を全自動生成するスキルです。仕組みは音源から図解動画をAIで全自動生成する記事で解説しています。
このスキルを先ほどのプロンプトで改善した結果、実行時間は改善前の3分の2に、トークン消費は半分になりました。
実施した主な改善は、次の4つです。
- 字幕の整列から完成後の検証まで、順番に確認していた5つの機械処理を1コマンドの一括実行にまとめる
- 時間のかかる文字起こしと画像生成を、ほかの作業と並行して先に走らせる
- 生成画像のチェックを1枚ずつから数枚ずつのまとめ読みに変え、作り直した画像だけを再チェックする
- 動画の書き出し設定を、画質を保ったまま速いものに変える
いずれも、AIが過去7エピソードの実測データから作業のボトルネックを特定して提案し、実装まで行いました。
記事作成スキル:実行時間、トークン消費ともに半分

2つ目は、弊社の記事作成スキルです。2026年8月28日に同じプロンプトを送ると、AIは111行の改善計画書を作りました。
計画書には、優先度順の改善点6項目と、PR5本の分割計画が入っていました。上位3つの内容は以下です。
- 機械検査を敵対的検証の前へ移す
- 敵対的検証を1回にする
- 記事のもとになるファクトシートをテンプレート化する
1番は、検査の順番の入れ替えです。文字数などの機械チェックが最後にあり、AIレビュー(敵対的検証)の後に入る修正を検証し直せていませんでした。
2番は、AIレビューは1回目で大部分の直しは終わり、それ以降は繰り返しても品質改善がコスト・時間に見合わないための改善です。
3番は、記事作成の前に作る、記事の概要を書いたファクトシートのテンプレート化です。テンプレがあれば、ファクトシートの形式を毎回AIがゼロから考えなくて済みます。
この計画に沿って1件ずつ改善した結果、実行時間もトークン消費も半分になりました。
テストの仕組みは、あえて作らない

ここまで読んで、Lauren Tanさんのように評価の仕組みを作り込むべきでは、と思った人もいるはずです。
実際、それが正攻法です。Anthropic公式も「広範なドキュメントを書く前に評価を作成」するようすすめています。
それでもぼくがテストの仕組みを作らないのは、運用の手間がかかるからです。
- スキルを改善するたびに、テスト項目も直す必要がある
- AIモデルの性能向上や別のAIへの乗り換えのたびに、テストの調整が必要になる
一方、先ほどのシンプルなプロンプトなら、どんなテストで改善点を見つけるかをAIが都度考えます。
モデルが賢くなれば、テストの中身もそのまま賢くなります。AIを乗り換えるときも、プロンプトの調整は不要です。
スキルは5回以上使ってから改善。種が多いほど良い改善ができる

最後に、なぜスキルを5回以上使ってから改善するのかを説明します。
実行回数が1、2回だと、特定の実行に最適化されすぎた改善点が上がってくるからです。
たとえば、記事スキルの実行で、記事の冒頭に具体例を追加する修正が入っていたとしましょう。
スキル改善のときに、この1回のスキル実行だけを参考にすると、AIは「記事の冒頭には必ず具体例を入れるべき」と考えます。
一方で、5回以上実行してから改善させれば、AIは複数の修正内容を一通り見て、どういうときに具体例を入れるべきかがわかります。
改善の種がたくさんあるほど、AIはより適切な改善点を挙げてくれます。
まとめの前に、お知らせを。
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まとめ:スキルはテストして育て続ける資産
この記事の要点は次の4つです。
- スキルは書いた時点では仮説。実際の利用観察に基づいて改善する
- 改善はプロンプト1つをコピペして、AIにテストさせる
- テストの仕組みは作り込まず、シンプルなプロンプトでAIの進化に乗る
- テストは5回以上使ってから。利用回数が少ないと、特定の利用に最適化されすぎた改善点が出るため
エージェントスキルは作って終わりではなく、テストして育てる資産です。
まずは5回以上使ったスキルを1つ選び、紹介したプロンプトを送ってみてください。
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