AIの指示で「いい感じに」はNG|見本・理由・ゴールの提示で真価を発揮
AIに、
「いい感じにして」
「イケてるデザインにして」
と頼んで、思い通りの成果物が出てこないのはあるあるです。
これは当然で、「いい感じ」や「イケてる」が具体的にどんな状態なのかは、あなたの頭の中にしかありません。どれほど賢いAIでも、そこは見えないのです。
物足りない結果を前にすると、ぼくたちはつい細かく指示を出します。しかし、AIが能力を発揮するのに有効なのは指示を増やすことではなく、任せ方を変えること。
この記事では、AIの真価を引き出す仕事の任せ方を3つのポイントで解説します。
動画で見たい方はこちら。
曖昧な指示ほど、賢いAIは無難な答えに逃げる

指示者の頭の中が見えないとき、AIは学習したデータの中から平均的で無難な回答を選びます。「いい感じ」と言われれば、世の中の平均的な「いい感じ」を返すしかないからです。
日本のAI活用も、同じところでつまずいています。
NTTドコモ モバイル社会研究所は、2025年2月に全国の15〜69歳の男女7,527人を対象にWeb調査を行いました。
その調査で、生成AI利用者の27%が「期待している回答が出てこない」を不満に挙げています。
あいまいな指示で期待する成果を出せないのは、どれほど高性能なAIモデルでも同じです。
解決策は、細かい指示ではなく見本・理由・ゴール

AIに期待どおりの仕事をさせるには、これからやる仕事の見本・理由・ゴールの3つを示すことが重要です。
- 見本: その仕事の完成品
- 理由: 何のためにその仕事をするのか
- ゴール: 誰がどうなってほしいのか
ものすごく優秀な人に仕事を頼む場面を思い浮かべてください。あれこれ細かく指示するより、仕事の理由と求める成果だけ伝えて、進め方は本人に任せたほうが良い結果が返ってきます。
高性能なAIにも、細かく指示をする上司としてではなく、優秀な人に仕事を頼む依頼主として接するべきです。
OpenAIの公式ガイドも、推論モデルは熟練の同僚のようなもので、達成すべきゴールを渡せば細部は任せて良いと説明しています。
※推論モデルとは、内部で検討・検証を重ねてから回答するモデル
Fable 5やGPT-6 Astraのような高性能なモデルほど、仕事の理由と求める成果だけを伝える方が真価を発揮します。 仕事の細かい進め方の指示は、足かせでしかありません。
見本を示す:完成品を先に用意して正解の型を渡す

AIの性能を引き出す指示の1つ目のポイントは、見本を示すこと。AIに任せる前に、まず自分でその仕事の完成品を用意します。
見本は自分で作っても、ネットで理想的な成果物を探しても良いです。
見本があると、やるべき範囲や全体の構造といった正解の型がAIに伝わります。
Anthropicの公式ガイドでも、見本は出力の形式・トーン・構造を誘導する最も確実な方法の1つとされています。
理由を示す:何のための仕事かでAIの判断が変わる

AIの性能を引き出す指示の2つ目のポイントは、理由を示すこと。
たとえばWebサイトのデザイン修正なら、
「サイトの滞在時間を伸ばすため」
「問い合わせ件数を増やすため」
のように、何のための修正なのかを伝えます。
理由が分かれば、AIはその意図に沿って対応してくれます。同じ「デザイン修正」でも、滞在時間を伸ばすためと問い合わせを増やすためでは、直すべき場所が変わるからです。
Anthropicの公式ガイドも、指示の背景や動機を伝えると、狙いを理解して的を絞った回答になると説明しています。
ゴールを示す:誰がどうなるかを伝え、手段は任せる

AIの性能を引き出す指示の3つ目のポイントは、ゴールを示すこと。
「記事を読みやすくして」ではなく、「記事を中学生が1回読んで要点を3つ言えるようにして」と伝えます。
「いい感じのデザインにして」ではなく、Webサイトの指標を使って「直帰率が40%以下、コンバージョン率が7%以上になるようデザインを修正して」と伝えるのです。
このように、誰がどうなってほしいのかを数字を使ってゴールとして示すと、AIは達成する手段を自分で考えて実行してくれます。
3つをまとめた依頼文(コピペ可)
見本・理由・ゴールは、どれか1つ使うだけでも効果的ですが、以下のように全て指示に含めることもできます。
(見本にする成果物を添付して)この見本と同じ型で、〇〇を作成して。理由: 〇〇のため。ゴール: 〇〇が〇〇できる状態になること。たとえば、新サービスの案内メールなら、次のようになります。
(去年一番反応が良かった案内メールを添付して)この見本と同じ型で、新サービスの案内メールを作成して。理由: 既存のお客様からの問い合わせを増やすため。ゴール: 本業で忙しいお客様が、通勤中にスマホで1回読んで、何が新しくなったかと申し込み方法を言える状態になること。ただし、低コストモデルには細かい指示が効く

見本・理由・ゴールが万能というわけではありません。
ゴールを渡して細部を任せるのが有効なのは、高性能モデルの話です。OpenAIの同じガイドは、非推論のGPTモデルは若手の同僚のようなもので、特定の成果物を作る明確な指示で最も良く働くとも書いています。
つまり、ClaudeのHaikuやGPTのLunaのような、思考力が低いぶんコストも安いモデルなら、作業手順を細かく指示した方が上手く仕事をこなせるということです。
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まとめ:AIの上司ではなく依頼主として、見本・理由・ゴールを渡す
この記事の要点は次の3つです。
- 「いい感じに」のような曖昧な指示では、どんな高性能なAIでも平均的で無難な回答しか出せない
- AIの性能を引き出すには、その仕事の成果物の見本、やるべき理由、達成してほしいゴールの3つを示す
- 賢いAIほど、仕事の意図とゴールだけを示し、どう進めるかは自分で考えさせたほうが良い仕事をする
次にFable 5やAstraへ仕事を任せるときは、見本・理由・ゴールを示して、仕事の進め方はAIに任せてください。期待以上の成果を出してくれるはずです。
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