はたらクラフト

Jevを1日使ってわかった実務レベルで使えるユースケース

AIコスト・効率化

ここ最近、AI界隈では「Jev」というAIモデルが話題です。1回の応答が0.5秒以下、料金は出力無料という速さと安さが注目されています。

この記事では、ぼくがJevを1日使ってわかった仕組みと、実務で使えた・使えなかったユースケースを解説します。

動画で見たい方はこちら。

Jevは文章を書かず、決まった形の答えと確率だけを返す

同じ質問に対しChatGPT・Claudeは文章、Jevは決まった形の答えと確率を返す対比図

Jevは、元OpneAIの社員が創業したTypeSafe AIが提供するAIモデルです。

ChatGPTやClaudeは、質問に対して文章を返します。Jevは全く違い、質問に対して決まった形の答えと確率だけを返します。文章も、コードも、理由の説明も生成しません。

公式ドキュメントにも、Claude CodeやCursorの中で動くAIの代わりにはならないと明記されています。Jevは会話や作業をするAIではなく、AIの作業の中にある「判断」を受け持つ部品です。

答えの型は、noul・choice・scoreの3つだけ

noul・choice・scoreの出力形式比較図

Jevに聞ける質問の型は3つだけです。メールの仕分けを例に説明します。

noul は、はい・いいえで答えられる質問です。「この文章はクレームですか?」と聞くと、はいの確率を0〜1で返します。1に近いほど、はいの可能性が高い答えです。

choice は、複数の選択肢から1つを選ぶ質問です。メールが「クレーム・感謝・感想」のどれかを聞くと、クレーム0.7、感謝0.2、感想0.1のように、全選択肢の確率を返します。

選択肢は1つの質問につき最大255個まで指定できます。

score は、段階的な評価をする質問です。クレームの深刻さを「ちょっとした不満・サービス改善の要求・返金の要求」の3段階で聞くと、0〜2の値を返します。

0に近いほど軽い不満、2に近いほど返金要求の可能性が高い答えです。段階は2〜10個まで指定できます。

注目される理由は、0.5秒以下の応答と出力無料の料金

0.5秒以下の高速応答と出力トークン無料の料金を対比した図解

Jevが注目されている理由は、動作がかなり高速で、コストもものすごく安いからです。

公式の発表によると、1回の応答時間は約70〜500ミリ秒です。500ミリ秒は0.5秒なので、人がボタンを押す感覚で判断が返ってきます。

しかも、質問は1回につき1個ではありません。1回のリクエストに複数の質問をまとめると、並列で答えます。10個でも100個でも、応答時間はほとんど変わりません。

料金は、入力100万トークンあたり0.042ドル、出力トークンは無料の従量課金です。利用にはTypeSafeのアカウントを作ってAPIキーを取得する必要があります。

ぼくが1日中Jevを使い倒してかかった料金は、4円ぐらいでした。

JevでAIのブラウザ操作が10倍速くなった

結論として、Jevが最も役立ったのは、AIによるブラウザ操作の高速化でした。

AIのブラウザ操作が遅いのは、毎回「考える」から

見る考える操作するを画面が変わるたびに繰り返し時間が積み重なるAIブラウザ操作の仕組み

AIのブラウザ操作は「画面を見る→次に何をするか考える→操作する」の繰り返しです。

ブラウザ操作AIの開発元であるBrowser Use社によると、同社の最速のAIエージェントでも1ステップに平均3秒かかります。画面が変わるたびに考え直すため、この「考える」時間が積み重なります。

jev-ultrafastは「何をするか」「どこにするか」だけをJevに選ばせる

番号付き画面要素からJevが操作と対象を同時に選ぶ様子

海外では、Jevを使ってブラウザ操作を高速化する有名なプロジェクトがいくつかあります。その中でも、ぼくはXのさまざまなポストでバズっていたjev-ultrafastを試しました。

ソースコードはGitHubで公開されていて、誰でも試せます。

やっていることはシンプルです。画面上の要素を番号付きの一覧にして、Jevのchoiceで2つを同時に選ばせます。

  • どの操作をするか(クリック・文字入力・選択・スクロールなど)
  • 画面のどの要素に対して操作するか

文字入力が必要なときだけ小さなAIが文章を書き、それ以外の段取りはClaude CodeやCodexのようなAIエージェントが担います。

「何を、どこに」という判断だけをJevに任せることで、ブラウザ操作を高速化しているわけです。

公式の実例では、Googleフライトで航空券の検索が約7.1秒で済んだそうです。

動画・メルマガ投稿スキルが、Jevで10倍速になった

GitHubリンクを渡す指示だけで動画・記事投稿スキルが10倍速になる仕組み

ぼく[YouTube・Spotify・Substackへの動画や記事の投稿を、AIのブラウザ操作で自動化しています。この投稿用のエージェントスキルを、Jevで高速化しました。

スキルの修正はシンプルで、jev-ultrafastのGitHubリンクを渡して、AIに次のように指示しただけです。

https://github.com/browser-use/jev-ultrafast を参考に、YouTube投稿スキルのブラウザ操作の部分をJevで高速化して

修正作業には1時間ほどかかりましたが、動画や記事の投稿作業は10倍ぐらい速くなりました。

Jevに音声文字起こしの誤り検出をさせたが、時間もコストも変わらなかった

Jevの文単位誤り判定が見落としで全文チェックへ戻る流れ

一方で、Jevを試したけど使えなかったユースケースもあります。

ぼくはポッドキャストを収録した後、記事や動画にするために音声を文字起こししています。

文字起こしにはどうしても表記ミスがあります。たとえばぼくの名前「たいち」はひらがなにしてほしいのに、漢字になったりカタカナになったりとバラバラです。

そのため、全体の文脈を見てAIに誤りを訂正させています。

この訂正作業を、Jevでコスト安く高速化できるのではないかと考えました。文字起こしを1文ずつJevに渡し、その文に誤りがあるかをnoulで答えさせ、誤りが確実にある文だけをピンポイントでAIに訂正させる作戦です。

ですが、実際に検証すると、実行時間はほぼ変わらず、減ったトークンは約3.9%だけでした。コストもJev未使用の場合とあまり変わりません。

原因は、Jevを使っても誤りのある文を見落とすパターンがあったからです。見落としが起こると、AIは結局、文字起こしの全文を調べなければなりません。

なお、Jevの公式ドキュメントには英語が主な学習言語で、日本語を含む他の言語は同じ精度ではないと書かれています。Jevの日本語精度は、まだ改善の余地があるようです。

Jevに向くのは、決まった候補から選ぶだけの判断を繰り返す仕事

Jevに向く仕事と向かない仕事の対比

2つの検証から、Jevに向く仕事と向かない仕事の違いが見えてきました。

  • 向く:候補が決まっていて、そこから「選ぶ」だけの判断が大量にある
  • 向かない:見逃しが許されず、結局AIエージェントの検証が必要になる

動画・メルマガの投稿作業は、毎回同じ画面で「どのボタンを押すか」を選ぶだけの判断が大半で、入力する値は事前に決まっています。仮にJevが誤っても、AIエージェントが正しい操作をすれば問題ありません。

だからこそ、Jevの活用で速度もコストも改善しました。

まとめの前に、お知らせを。

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まとめ:判断や選択だけをJevに任せて、高速化&コスト削減

この記事の要点は次の4つです。

  • Jevは文章を返す従来のAIモデルとは違い、noul・choice・scoreの3つの型で、決まった答えを確率付きで返す
  • 応答は約70〜500ミリ秒、料金は入力100万トークンあたり0.042ドルで出力は無料
  • 「何を、どこに」の判断だけをJevに任せると、AIのブラウザ操作が高速になる
  • 見逃しが許されない文字起こしの誤り検出では、時間もコストもほぼ変わらなかった

Jevはまだ出てきたばかりの新しい技術で、使い方次第ではものすごく優秀な道具になります。ぼくもまだまだ検証していきます。

あなたも普段のAIの作業で、判断や選択の部分をピンポイントでJevに任せられないか、考えてみてください。

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