繰り返し作業をAIで高品質に自動化するエージェントスキル入門
「文章はですます調で、1文は短く」
「画像はこの色づかいと構図で」
AIに毎回同じ指示を繰り返すのは面倒です。また、同じ作業を頼んでいるのに回答の質が安定しないこともあります。
こうした悩みを解消するのが「エージェントスキル」です。
この記事ではエージェントスキルの仕組みと、はたらクラフトで使っている2つのスキル例を紹介します。
また、
- スキルの作り方
- 高品質なスキルを作る3つのポイント
もあわせて解説します。
エージェントスキルとは特定作業の手順と道具が入ったフォルダ

エージェントスキルとは、特定作業の手順書・必要な資料およびプログラムが入ったフォルダのこと。AI開発企業のAnthropicが2025年10月に公式ブログで発表し、現在は主要AIで使える共通規格です。
たとえば、記事の書き方をまとめたarticle-writingというスキルを作ったとします。このスキルは、AIに以下2通りの指示をすると呼び出せます。
- 「新しい記事を書きたい」:スキルに関連する指示をする
/article-writing:スラッシュコマンドでスキルを明示的に呼ぶ
スキルを呼ぶと、AIはスキルの手順や資料、プログラムを使って作業をします。
スキル化で指示は短くなり、精度は安定し、改善もできる

作業手順・道具がスキルにまとまっていれば、AIへ細かく具体的な指示を出す必要はありません。
AIは具体的な手順通りに作業するので、回答の精度も安定します。
さらにスキル自体を改善することもできます。スキルの成果物に問題があるなら、
- スキルの内容を自分で書き直す
- AIにスキルを直させる
いずれかの方法でスキルを修正できます。運用しながら改善し続けられるのがエージェントスキル最大のメリットです。
共通規格だからClaude専用ではなく、ほとんどのAIで使える

エージェントスキルはAnthropicのClaude独自の機能ではありません。
オープンな規格として仕様が公開されており、GoogleのAntigravityやOpenAIのCodexといった主なAIエージェントが公式に対応しています。
そのため、今使っているAIエージェントを乗り換えても、作ったスキルは無駄になりません。AIの種類に関係なく使える資産になります。
エージェントスキルのフォルダ構成

エージェントスキルのフォルダ構成は以下です。
スキル名(フォルダ)├── SKILL.md … 必須(名前・説明・手順)├── scripts/ … 任意(プログラム)├── references/ … 任意(参考資料)└── assets/ … 任意(画像などの素材)必須なのはSKILL.mdという1つのファイルだけ。プログラムや、参考資料、画像などの素材が必要なときは、scripts・references・assetsというフォルダに入れます。
スキルフォルダを置く場所は、AIエージェントによって違います。
- Claude Code:
.claude/skills/ - Codex:
.agents/skills/
同じスキルをAIごとに用意するのは手間なので、シンボリックリンク(別の場所にあるフォルダの分身で、ショートカットのようなもの)を使うのがベストです。
たとえば.claude/skills/article-writingにスキル本体があるなら、.agents/skills/article-writingはシンボリックリンクにします。これでスキルを直すときは.claude側の修正だけで済みます。
シンボリックリンクは、情報を重複させずに整理するSSoTの実践でもあります。
はたらクラフトのエージェントスキル例2つ
ここでは、はたらクラフトが実際に使っている2つのエージェントスキルを紹介します。
記事執筆スキル

1つ目は記事執筆スキルです。手順書だけで構成されており、手順は以下の通りです。
- ユーザーから記事のテーマと箇条書きメモを受け取る
- Web検索・ユーザー質問で記事に必要な情報を集める
- 記事のタイトル・見出し・各章の概要を書いたファクトシートを作成し、ユーザーにレビューさせる
- 執筆ルールにもとづいて記事を書く
手順3でいきなり記事を書かず、ファクトシート作成とレビューをするのは、完成記事の段階で直すより手間が減るからです。
本記事も記事執筆スキルで作成しています。
記事図解作成スキル

2つ目は記事図解作成スキルです。
手順書に加えて、次のプログラムや資料を含みます。
- 図解のAI指示文を章ごとに作成するプログラム
- できあがった画像を見出しの直後へ挿入するプログラム
- 使う色や「フラットな2Dイラストで描く」などのルール、キャラクターのデザイン画をまとめたスタイル資料
「@agent-skills-intro.md の図解を作成して」のように指示すれば、画像生成・記事の適切な箇所へ画像挿入・画像の説明文の追記を10分ほどでやってくれます。
エージェントスキルの作り方は2つ。AIに指示すればOK
エージェントスキルの作り方は2つあります。どちらの方法もAIに指示するだけでOKです。
「スキルを作成したい」と伝えてヒアリングに答える

1つ目は、AIに「スキルを作成したい」と指示する方法です。AIがスキル内容をヒアリングして作成してくれます。
AIへの指示は以下の通りです。
記事テーマと箇条書きの内容が書かれたメモから記事を書くスキルを作成したいAIがスキルに必要な情報を質問してくるので、全て回答するとスキルを作ってくれます。
作業の最後に「今回実施した作業をスキルにして」と伝える

2つ目は、AIが作業を終えたあとに、その手順をスキル化する方法です。
全ての修正指示が終わり、満足のいく成果物ができたタイミングで、次のように伝えます。
今回実施した作業をスキルにしてこれで、ここまでの作業内容および修正をふまえたスキルが作成されます。
高品質なスキルを作る3つのポイント
ここからは、高品質なスキルを作るためのポイントを3つ紹介します。
判断基準が明確ならプログラムに、あいまいならAIに任せる

プログラム・AIに任せる作業の線引きが、スキルの品質を左右します。
判断基準が明確な作業はプログラムに任せると、速く・正確に処理してくれます。あいまいな作業はプログラムでの処理が難しいので、時間もコストもかかるAIに任せます。
記事図解作成スキルを例に考えてみましょう。
図解のためには、図解対象となる「1章分の見出し・本文のまとまり」が必要です。記事ファイルで見出しは必ず##、###から始まっています。

そのため、1章分のまとまりは「##、###から次の##、###直前まで」を切り出せばOK。プログラムに任せられます。
一方で、切り出した内容を、見やすい情報量の図解になるよう整理するのは、プログラムだと難しいです。
プログラムは「100文字以上なら超えた分は末尾から削る」のような機械的な処理はできますが、図解に使える情報だけを取捨選択するのは困難です。
このような判断基準があいまいな作業だけをAIに任せるべきです。
- 判断基準が明確な作業は全てプログラムに速く・正確に処理させる
- あいまいな作業だけにAIを集中させる
このすみ分けがスキルの作業時間・精度に大きく影響します。
スキルは洗練された必要最低限の内容にする

AIに作らせたスキルは内容が過剰になり、コンテキストウィンドウ(AIの記憶量)を圧迫して精度を落とします。
これを防ぐには、スキル作成の指示に「スキルは洗練された必要最低限の内容にして」を加えるのが効果的です。
それでも不要な手順が残ることはありますが、使いながら削っていけば問題ありません。
たとえば図解作成スキルには当初、
- 画像の縦横比
- 指定色以外の色が使われていないか
- 章にない情報が図解に含まれていないか
を最終チェックする手順が含まれていました。
しかし、チェックで作業時間は伸び、修正でかえって図解の質が下がることも多かったので、この手順は削りました。
公開スキルではなく自作する

skills.shなど、ネットには他の人が作ったスキルがたくさん公開されていますが、自作がベストです。理由は2つ。
- スキルに悪質なプログラムが仕込まれているなどのセキュリティリスクがある
- 公開スキルは万人向けに作られており、自分の作業に最適化されていない
自作スキルを使いながら改善していく方が、スキルのノウハウが学べ、成果物の品質も上がっていき、一石二鳥です。
繰り返し作業をエージェントスキルにして資産に変える
この記事の要点は次の5つ。
- 特定作業のスキル化で、細かい指示なしで精度が安定する。運用しながら改善し続けられる
- スキルはAIエージェントを乗り換えても使い続けられる資産になる
- 判断基準が明確な作業はプログラムに、あいまいな作業はAIに任せると品質が上がる
- スキルの内容は洗練された必要最低限にし、不要な手順が残ったら使いながら削る
- 公開スキルはセキュリティリスクがあり、万人向けなので、自作スキルを最適化するのがベスト
まずは、繰り返している作業を1つ選び、CodexやClaude Codeに次のように依頼してみてください。
◯◯するスキルを作成したい。スキルに書くのは洗練された必要最低限の内容にして

